AI開発に取り組もうとすると、「どのプラットフォームを使えばいいのか」で迷う方は少なくありません。その有力な選択肢が、Googleが提供するVertex AI(バーテックスAI)です。機械学習の構築からデプロイ、そしてGemini・Claude・Llamaなど200以上のモデルへのアクセスまで、AI開発のすべてを一つのプラットフォームで完結できます。
この記事では、Vertex AIとは何か、読み方、料金、特徴、主要モデル、そしてGeminiやClaude、ChatGPTとの違いまで、Googleのai サービスを検討する方に向けてわかりやすく解説します。
- Vertex AI(読み方:バーテックス エーアイ)は、Googleが提供する機械学習のフルマネージド型プラットフォーム
- 料金は従量課金制。新規利用者には90日間・$300分の無料クレジットが付与される
- Model Gardenで200以上のモデル(Gemini・Claude・Llama等)を選択・比較できる
- VertexはプラットフォームでありGeminiはモデル。「車体」と「エンジン」の関係にたとえられる
Vertex AIとは?読み方と基本概念

Vertex AIとは、Googleが提供する機械学習のフルマネージド型プラットフォームです。読み方は「バーテックス エーアイ」。「Vertex」は英語で「頂点」を意味します。機械学習モデルの構築、トレーニング、チューニング、デプロイ、運用監視まで、AIプロジェクトのライフサイクル全体をカバーします。
ここで重要なのは、Vertex AIが「プラットフォーム」であるという点です。Vertex AI自体がAIモデルなのではなく、Geminiをはじめとする多数のAIモデルを選択・カスタマイズ・運用するための基盤です。たとえるなら、Geminiが「エンジン」、Vertex AIが「車体・コックピット・整備工場」をまとめた統合環境にあたります。
従来別々に提供されていたGoogleのAI PlatformとAutoMLが一つのインターフェースに統合されており、機械学習を中心とした多くのAIサービスを利用できます。フルマネージド型のため、運用管理・保守業務をすべて委託できるのも大きな特徴です。
2026年、GoogleはVertex AIを「Gemini Enterprise Agent Platform」へと段階的にリブランドしています。ただし「Vertex AI」の名称と機能は引き続き広く使われており、本記事では従来から親しまれている「Vertex AI」として解説します。最新の正式名称はGoogle Cloud公式サイトでご確認ください。
Vertex AIの料金|従量課金と無料枠
Vertex AIは従量課金制であり、サービスごとに料金が定められています。主に、生成AIモデルのトークン利用料と、トレーニングやデプロイに使うコンピューティングリソースの料金の2軸で構成されます。代表的な料金の目安は次のとおりです(為替により変動)。
| 内容 | 料金の目安 |
|---|---|
| 画像生成(1024×1024px) | 画像1枚あたり 約3.00円($0.020) |
| 自然言語生成(テキスト出力) | 1,000文字あたり 約0.15円($0.0010) |
| コード生成(出力) | 1,000文字あたり 約0.075円($0.0005) |
| 画像データのトレーニング(AutoML) | 1ノード時間あたり 約519.82円($3.465) |
| 表形式データのトレーニング(分類・回帰) | 1ノード時間あたり 約3,188円($21.252) |
また、Google Cloud、Google Maps Platform、Firebaseを有料で利用したことがない方は、90日間・$300分の無料クレジット(無料トライアル)を利用できます。Vertex AIを含むGoogle Cloudの各サービスに使え、Gemini APIの試用にも適用されます。導入を迷っている方は、まず無料枠から試すのがおすすめです。
Vertex AIの特徴・できること
Vertex AIを活用すると、以下のようなことが可能になります。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ハイパーパラメータの自動チューニング | 各モデルに最適なパラメータを自動設定し、予測精度を最大化。エンジニアの手動調整が不要になり、コア開発に集中できる。 |
| 学習データセットの作成(Datasets) | 画像・動画・テキスト・表形式の4形式に対応。アノテーション作業を支援し、機械学習に詳しくなくてもラベリングが可能。 |
| ノーコードでの開発 | ノーコードでトレーニング・チューニングが可能。Google Cloudの調査では一般的なプラットフォームに比べコード行数を約80%削減。 |
| 200以上のモデル・ツール | Model GardenでGemini・Claude・Llama・Gemmaなど200以上のモデルにアクセス。用途に応じて選択・比較できる。 |
| 一つのプラットフォームで完結 | 機械学習開発に必要なツールが全て揃い、変換作業や互換性確認が不要。開発を効率化できる。 |
| Google Cloudとの統合 | BigQuery・Cloud Storage・Looker等とネイティブ連携。既存のGoogle Cloud利用者に特におすすめ。 |
Vertex AIの主要モデル|Model Gardenで選べるAI
Vertex AIの中核機能が「Model Garden」です。200以上のモデルの中から、用途に最適なものを選び、比較・カスタマイズ・デプロイできます。2026年時点の主要なモデルを整理します。
| モデル | 提供元 | 特徴 |
|---|---|---|
| Gemini 3 Pro | 最先端の高度な推論モデル。100万トークンのコンテキストウィンドウで、テキスト・音声・画像・動画・PDF・コードを横断的に理解。 | |
| Gemini 3 Flash | 高速・低コストで高性能。日常的な大量処理タスクに最適な主力モデル。 | |
| Claude(Anthropic) | Anthropic | Model Garden経由でClaudeモデルファミリーを利用可能。高度な推論と長文処理、コーディングに強み。 |
| Llama | Meta | Metaが提供するオープンモデル。カスタマイズ性が高く、自社データでの調整に向く。 |
| Gemma | 軽量なオープンモデル。オンデバイスや低コスト運用に適する。 | |
| Imagen / Veo | 画像生成(Imagen系・Nano Banana)と動画生成(Veo系)に特化したモデル。 |
モデルの世代交代は非常に速いのが特徴です。2026年6月にはGemini 2.0系が提供終了し、Gemini 3.1系へ移行が進みました。Model Gardenでは常に最新モデルへアクセスできるため、「一つのモデルに縛られず、最適なものを選び続けられる」のがVertexとModel Gardenの本来の価値です。
Vertex AIの利用ガイド|始め方5ステップ
Vertex AIを使い始める基本的な流れを、5つのステップで解説します。
Google Cloudに登録し、プロジェクトを作成します。新規なら$300分の無料クレジットが付与されます。
無料で開始コンソールでVertex AI(Gemini Enterprise Agent Platform)のAPIを有効にします。
200以上のモデルから、用途に合うもの(Gemini 3、Claude、Llama等)を選択します。
Agent Studioでプロンプトを設計・テスト。必要に応じて自社データでチューニングします。
Model Registryに登録し、本番環境へデプロイ。予測・監視・スケーリングを一元管理します。
Vertex AIとGemini・Claude・ChatGPTの違い
「Vertex AIとGeminiやClaude、ChatGPTは何が違うの?」——これは非常によくある疑問です。答えの鍵は、Vertex AIが「プラットフォーム」であり、GeminiやClaude、ChatGPTが「モデル」だという点にあります。次の表で整理します。
| 名称 | 種別 | 提供元 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| Vertex AI | プラットフォーム | 複数のモデルを選択・運用する基盤。「車体・整備工場」にあたる。 | |
| Gemini | モデル | Vertex AI上で動く主力モデル(エンジン)。単体でもGemini APIで利用可能。 | |
| Claude | モデル | Anthropic | Vertex AIのModel Garden経由でも利用可能。長文処理・推論・コーディングに強い。 |
| ChatGPT | モデル/製品 | OpenAI | OpenAIの対話型AI製品。Vertex AIとは別系統で、Google Cloud上では標準提供外。 |
つまり、GeminiとClaudeはVertex AI上で選んで使えるモデルであり、ChatGPT(OpenAI)は別系統のサービスです。ChatGPTを企業システムに本格的に組み込む場合はOpenAI APIやAzure OpenAIを使うのが一般的で、Google Cloud基盤で複数モデルを比較・運用したい場合はVertex AIが有力な選択肢になります。
Vertex AIとGoogle AI Studioの使い分け
Googleには、Gemini APIを手軽に試せる「Google AI Studio」もあります。使い分けの目安は、「まず試すならGoogle AI Studio(Developer API)、本番運用ならVertex AI」です。エンドポイント管理・スケーリング・監視・セキュリティ(IAM、監査ログ、VPC Service Controls)が必要な企業利用では、Vertex AIが適しています。
Vertex AIの今後の発展と関連ニュース
2026年、Vertex AIは大きな転換点を迎えています。単に「問いに答える」対話型AIから、「目的を自律的に達成する」AIエージェントの構築基盤へと進化しています。
- Gemini Enterprise Agent Platformへのリブランド:Vertex AIは「Gemini Enterprise Agent Platform」として、エージェント構築・運用に特化した統合基盤に再編されつつあります。
- Vertex AI Agent Builder:最新のGemini 3をエンジンに、コーディング不要で自律型AIエージェントを構築できるツール。「新商品を調査してレポートをSlackに送る」といった曖昧な指示から、必要なステップを自律的に計画・実行します。
- Thinking Budgetの概念:AIが「どれだけ深く考えるか」に予算を割り当て、不要な高額推論を防ぐ仕組みが導入されています。複雑な戦略立案には高推論モデル、日常業務には高速モデルを自動選択し、ROIを最大化します。
- モデルの高速な世代交代:Gemini 3.1系への移行が進み、Model Gardenは常に最新の200以上のモデルを提供し続けています。
「プロンプトをどう書くか」に悩む時代から、「どんな役割のエージェントに、どの業務を委ねるか」を考える時代へ。Vertex AIは、その変化の中心にあるプラットフォームです。
💡 ヒント:Vertex AIのような高度なAI基盤の検討結果や比較を、社内やクライアントに共有するなら、プレゼン資料が欠かせません。Smallpptなら、キーワードを入力するだけでAIが比較表つきのスライドを数十秒で自動生成。技術調査のレポート作成に最適です。
まとめ
Vertex AI(読み方:バーテックス エーアイ)は、Googleが提供する機械学習のフルマネージド型プラットフォームです。従量課金制で、新規なら$300分の無料枠から始められます。最大の特徴はModel Gardenで、Gemini 3・Claude・Llamaなど200以上のモデルにアクセスし、比較・運用できる点にあります。GeminiやClaudeは「Vertex AI上で使えるモデル(エンジン)」であり、Vertex AIは「それらを動かす基盤(車体)」という関係です。2026年はエージェント構築基盤へと進化を続けており、Googleのai サービスの中核として、今後もその重要性を増していくでしょう。
よくある質問(FAQ)
Vertex AIの読み方は?
「バーテックス エーアイ」と読みます。「Vertex」は英語で「頂点」を意味する単語です。
Vertex AIとは何ですか?
Googleが提供する機械学習のフルマネージド型プラットフォームです。モデルの構築・トレーニング・デプロイ・運用までAI開発の全工程をカバーし、Model Gardenで200以上のモデルにアクセスできます。
Vertex AIの料金はいくらですか?
従量課金制で、生成AIのトークン利用料とコンピューティングリソース料の2軸で構成されます。新規のGoogle Cloud利用者には90日間・$300分の無料クレジットが付与されるため、無料枠から試せます。
Vertex AIとGeminiの違いは?
Vertex AIは「プラットフォーム(基盤)」、Geminiは「モデル(エンジン)」です。GeminiはVertex AI上で動く主力モデルであり、Vertex AIはGeminiを含む複数のモデルを選択・運用するための環境です。
Vertex AIでClaudeやChatGPTは使えますか?
ClaudeはModel Garden経由でVertex AI上で利用できます。一方ChatGPT(OpenAI)はGoogle Cloudの標準提供外で、別系統のOpenAI APIやAzure OpenAIを通じて利用するのが一般的です。

